舌診に関して、お灸で行うべきかどうかは意見がわかれると思う。
しかし、舌診は独学がある程度可能な上、脈診や腹診などに比べるとその学習の難易度は低いように思える。
もちろん決して簡単なものではなく、奥が深い。
実際に実践するとしても、時間としては1~2分だろう。
もっと短いかもしれない。
治療前後の変化などの効果の判定もわかりやすいものがある。
特に舌診は、血の状態や脾(湿)の状態を中心に初学者は診ていくのがいいのではないのだろうか。
舌診をしたとき、口が大きく開かない患者もいる。
この場合は、顎関節や歯に問題があることも多いので、無理に口を開けさせないようにすることも必要だろう。
顎関節に問題があれば、腎、胆、小腸あたりに問題がある可能性もある。
歯に関しては、腎、上の歯は胃、下の歯は大腸などと東洋医学的には関係しているという話も聞く。
脳の問題のこともある。
また舌を出したとき、舌の震えがある場合は、心気虚や脾腎の虚、肝鬱、心火の影響が強いか、心身の緊張が強い場合である。
このときは、治療の最初に心の原穴である神門への多壮灸や、気海への多壮灸を行うことが有効だと思う。
舌もやたら赤かったり、白かったり、舌苔が厚かったりすることもある。
それぞれ心肝、脾、気血両虚、痰湿などの影響があるように思える。
舌の裏の舌下静脈の状態を診ることも大切で、この静脈の怒張は、肝脾の影響が強いように個人的には感じる。
患者によっては、舌の裏を見せることができない人もいるが、これは口蓋の問題や顎関節の問題、舌の筋肉の問題が考えられる。
ちなみにこの状態は治るのに時間がかかることがある。
特に舌の筋肉に問題がある場合、脳の一部に問題があることがある。
おそらく脳幹の橋や小脳関係ではないかと思う。
東洋医学的には心の問題かもしれない。
あまりないが、舌が黒い場合は要注意で、ガンなどのこともある。
ただし、飲食物の関係もあるので、その点の確認は必要かもしれない。
これだけ考えてもお灸でも、舌診の必要性、有効性はあると思う。