華佗は、中国後漢末期の薬学・鍼灸に非凡な才能を持つ伝説的な「神医」である。
高き医徳を積みつつも権力に屈する事を拒んだ事から非業の死を遂げたとされる。
華佗はお灸で治療する場合は、原則として1~2穴で、多くても7~8壮だったらしい。
しかし、例外も存在する。
それは
夾脊 別名:華佗夾脊
である。
取穴 背部、第 1 胸椎棘突起から第 5 腰椎棘突起までで、それぞれの棘突起下縁と同じ高さで、後正中線の両外方 5 分に取る。
左右各 17 穴、計 34 穴ある。
主治 胸腹部の慢性疾患(特に肺結核)
こんな話がある。
華佗は、足が弱くなり、歩けない患者を望診で、「あなたは、鍼灸も投薬も飽きるほど受けています。脈を診るまでもありません」といい、背中に数十箇所の灸点を付けた。
それは縦横もバラバラであった。
華佗は「この印に灸を10壮ずつ据えてください。灸創が治れば、歩けるようになるでしょう」と言った。
後々見ると、灸痕は脊柱を挟むこと一寸、上下に真っ直ぐ均等に並んでおり、まるで墨縄を引いたようであったらしい。
華佗の灸は、皮膚に対する熱刺激によって、「身体全体が矯正される」ことにより、当初はバラバラであった穴が結果として脊柱を挟む形で整列したということである。
これは、身体に歪みのある患者に対して、その反応点を探し、お灸治療を加えるという運用法である。
明堂灸経の華佗穴の灸は、「第1胸椎棘突起から第5腰椎棘突起までの両側5分のところに17穴、左右合計34穴を取り、15壮ずつお灸をする」ものである。
明堂灸経の華佗穴の灸は、「胸腹部一切の慢性病」と、「肺結核」に良いと言われている。