現代医学とは異なる視点で行う関元一点灸は、中国の扁鵲心書の総論「住世之法」から発展した自然療法である。
関元穴1ヶ所のみに多壮灸を行い、頭に上がっていた気を丹田に引き下げることで、体と脳の情報交換が回復し、自分の気による治癒を目的にする。
鍼と灸をミックスする鍼灸が増える中、灸の独自性を追求した。
関元一点灸の4つの特徴
1 弁証はしない。
2 症状緩和のためには行わない。
3 他の療法と併用しない。
4 対象経穴は、関元穴1か所のみで多壮灸。
関元は丹田とも呼ばれて、この奥に「先天の原気」を宿している。
研究の結果、経穴の中でも人体に最も影響を与える経穴を関元穴と考え、 症状に関係なく、関元穴1ヶ所のみに多壮灸する。
この灸法には、人体は自分自身の体の中に自然治癒力を持っていて、余分な刺激は必要としないという哲学がある。
関元一点灸は研究の末にたどり着いた、体のツボの中でも最も影響を与えるツボを関元穴と断定したものである。
関元一点灸は、近年東洋医学ではおろそかにされ始めている、哲学という要素が現在でも臨床の柱であり続け、それを誇りとしている。
それは気という自然の中にある見えない存在とその働きを理解するのに必要な要素である。
関元に多壮灸したあとは、治癒は自然にまかせる。
関元に多壮灸を行うことで、丹田に気が集まり、全身の気の流れを良くし、体が温まり代謝が活発になり、免疫力が向上する。
痛いところや悪いところを刺激する方法とは違い、気の流れやすい環境に体を整えることによって、その人本来が持っている自己治癒力を最大に働かせることが目的になる。
関元一点灸は、ツボが決まっているから、後は施灸するだけである。
しかし、その背景にはさまざまな思いがつまっている技法である。