夜が更けると、東京の街は静まり返る。
ネオンがチカチカと光り、遠くの喧騒も薄れていく。
そんな夜、僕はギターを片手に、ふとしたきっかけで知った鍼灸院の扉を開けた。
心の中の不安や疲れを癒してくれる場所を求めていたんだ。
「いらっしゃいませ」と、柔らかな声が迎えてくれた。
受付には、笑顔が素敵な女性、名は美咲さん。
彼女の眼差しには、どこか懐かしい温もりがあった。
「今日はお灸を試しに来ました」と僕は少し照れながら言った。
「お灸ですね。リラックスできるように準備しますね」と美咲さんは優しく答え、治療室へと案内してくれた。
治療室は、温かみのある木の香りと穏やかな音楽が流れる、心地よい空間だった。
美咲さんは手際よく艾を取り出し、説明を始めた。
「お灸は、体のツボに熱を与えて、血行を良くし、体のバランスを整える効果があります。特に、心身のリラックスに最適です」
僕はベッドに横たわり、目を閉じた。
美咲さんの手が背中に触れ、慎重に艾を据えていく。
その手の動きは、まるで優しいメロディを奏でるようだった。
「お灸の熱が体に浸透していきます。その感覚に身を委ねてください」と美咲さんの声が、心地よい音楽の一部のように響いた。
火をつけられた艾からは、じんわりとした温かさが広がり始めた。
その感覚は、まるで僕の心の奥底まで届く低音のように深く、全身を包み込むようだった。
ギターの弦が優しく震え、心に響く音を奏でるように。
「お灸の温もりは、心と体のバランスを整え、日々の疲れを癒します。その温かさに包まれて、心をリセットしてください」と美咲さんは続けた。
僕はその言葉に身を委ね、温かさが体中に広がっていくのを感じた。
その感覚は、まるでライブのステージで観客と一体になる瞬間のような、純粋なエネルギーに満ちていた。
お灸の温もりが次第に和らぎ、痛みも消えていくと共に、僕は心も体も軽くなるのを感じた。
その感覚は、新たなインスピレーションを得た時のような、鮮やかな高揚感だった。
「これで治療は終わりです。ゆっくりと起き上がってください」と美咲さんは優しく声をかけた。
僕は感謝の意を述べ、鍼灸院を後にした。
外に出ると、都会の夜風が心地よく頬を撫で、体の中には新たなエネルギーが満ちているのを感じた。
お灸の温もりが、僕に新たな活力とインスピレーションを与えてくれたのだった。
その夜、僕はお灸の温もりと共に、新たなメロディが浮かぶのを感じた。
