中脘は、沢田流では重要経穴である。
胃腸病と子宮病の要穴と言われている。
沢田流では、左陽池と中脘で子宮前屈と子宮左屈を治療している。
疝癪の場合も効果があるらしい。
疝癪というのは胸や腹などがさしこんで痛む病気のことであり、腹の中でスヂがつれて腸は自由に動かず、乳糜管が停滞して諸病のもととなるものである。
中脘は、上中下三脘の中点であるとともに、上中下三焦の中点でもある。
中脘の灸は、三脘と三焦に響くと言われている。
中焦には、胃・十二指腸・脾臓・膵臓・肝臓があり、これらと中脘は深い関係にある。
沢田先生は、中脘は膵臓と十二指腸のつながる処に当たっていて、胆汁と膵液が出て、十二指腸に注ぎ、腸内の食物を消化して栄養分を吸収する。これが乳糜管を通って、体の皮膚に送られて腠理を養う衛気となる。だから、この中焦の吸収が衰えれば、皮膚は弱くなる。乳糜液の吸収が盛んになれば、皮膚の栄養がよくなるなどと言っている。
中脘の灸は膵臓の調節ができ、乳糜管の流通をよくする。
乳糜管の流通が悪くなると、老廃物が溜まりやすくなり、血行が悪くなって、手足が冷えるようになる。
中脘の灸は、必要な場合は100〜200壮くらいすえても良いらしい。
扁鵲心書では数百壮単位の多壮灸が指示されている。
中脘は経絡の流れから肺経から肝経まで治療することができ、腎虚で胃経を瀉する目的で用いることもあるらしい。
肺虚で、肺の母である脾胃の機能を高めて、消化吸収力を上げるために補法を行うこともある。
湿痰を除くこともできる。