気海のお灸は、重要である。
気海は、その名の通り、気の海である。
「気」は先天の元気を示し、「海」はそれが集まるところを意味する。
身体の真ん中のライン(任脈)にあり、臍から指2本分下に位置する。
気海は人体の3つの丹田のうち、臍下丹田上にあるツボで、下丹田とも言われる。
腎間の動気は、気海で拍動しているという説もある。
気海は、字の通り気に効く。
気海は、生薬の人参や附子の働きをすると言われている。
生薬の人参は、強壮強精・消化促進・下痢止め・精神安定・血糖降下・強心・保温・抗疲労などの効能が期待できる。
ニンジンの有効成分には、疲労の回復・記憶過程の改善・抗ストレス・消化管運動亢進・ストレス性胃潰瘍抑制・高血糖の改善・抗アレルギーなどの作用が報告されている。
附子は、新陳代謝亢進作用、鎮痛作用、強心作用などを目的として漢方薬に配合され、陰病で寒の症状が甚だしい状態に用いる温熱薬として位置づけられている。
附子剤を用いる目標は、体力の低下、四肢の冷えなどエネルギーの不足の状態である。
気海は、元気がないときや体がだるいときなどに刺激をすると効果があるといわれている。
気海は、気を引き下ろしながら、元気をつけると言われている。
現代人は、上実下虚、上熱下寒の人が多いと思われるので、気海に多壮灸を行うことは効果的と考えられる。
気海の主治は、疲労 不正子宮出血 帯下 月経不順 ヘルニア 腹痛 下痢 尿閉 遺尿 浮腫 産後の下血 便秘 子宮下垂等。
沢田流では、腸疾患の要穴と言われ、腹膜炎や盲腸にも用いるらしい。
気海は、腎と脾との関連が強い。
灸術の研究では、「元気灸法」として、気海、中脘、左右の腎兪の計4穴を使っている。
白隠は「気海丹田に主心が住めば、四百四病も皆消ゆる」と言っている。