難経十六難では、五臓の病変を見る腹診法として、臍を中心にしていると考えることもある。
臍の周辺の部位を脾。
臍の上を心。臍の下が腎。
臍の右を肺。臍の左が肝。
個人的には、見る順番としては、腎(下)、脾(臍中心)、心(上)、肝と肺(左右)という感じにしている。
何を見るかというと、色をまず見る。
部分的に黒や白や青や紫などの色になっている箇所が重要になる。
動悸がないかというのもかなり重要だと思う。
熱と冷えも見る。
浮腫も見る。
最後に、圧痛やコリになる。
脈に良い変化がある場合でも、腹の状態が悪いということもある。
この場合、腎間の動気(動悸)を見ることも大切になると思う。
臍下丹田の状態がどうなっているのかを確認する。
初心者は虚実の判定は、腹診の方がわかりやすいと言われている。
個人的にもお灸では腹診の方を重視した方がわかりやすいと思っている。
体は左右差があることが多いが、腹にもそれが現れることがある。
主に右に圧痛がある場合や左に圧痛がある場合などもある。
腹の場合は、例えば、上腹部の左に圧痛がある場合は、下腹部の右に圧痛があることもある。
これは斜体反射関係と考えられる。
左右差と言っても、片側のみに偏ることもあれば、左右が上下で逆になっていることもある。
ある古典の腹診では、肺は胸部と考えて、心は心下部、左右は肝、下腹部は腎、中心は脾と考えている。
例えば、中脘は脾胃の治療に使うことも多いが、肺経が中脘から始まっていることから肺にも効果的で、中府というツボに痛みがある場合も効果的なこともある。
ある経絡治療の先生は、標治法としてお腹に知熱灸を多用されていたらしい。
胃の症状でも腎虚もあり、本治で腎虚を治療して、標治では脾の募を見たらしい。
肝虚では中脘に知熱灸を行っている。これは肝経の関係と考えられる。
それと天枢も重要点と考えているようだ。確かに左右差が出やすいツボだと思う。
江戸時代の一時期は、腹を本とする説が多かったらしい。