横浜お灸研究室 関元堂温灸院

横浜市のお灸専門 関元堂温灸院

草原のお灸師

私は、広大な草原の中で、ひとりのお灸師として生きていた。

 

人々がやってくることは少なかったが、彼らが訪れるときには、心に疲れを抱えていた。

 

ある日、草原に足音が響いた。若い男がやってきた。

 

彼の目には深い悲しみが宿っていた。

 

私は、お灸を施すことで少しでもその痛みを和らげたいと思った。

 

火を灯し、お灸の温もりを伝える。

 

彼の目に涙が溢れた。

 

彼の背中には傷跡があり、その傷は心にも深く刻まれていた。

 

「君は何者だ?」と彼は尋ねた。

 

私は微笑みながら答えた。

 

「私はこの草原のお灸師だ。心の傷も癒す力を持っている」

 

彼はじっと私を見つめ、そして笑顔を浮かべた。

 

その笑顔は、少しずつ消えていく痛みを抱えた心の中で、ほんのりとした光を灯すようだった。

 

彼は日が暮れるまで草原にとどまり、私のお灸を受け続けた。

 

そして、夜風にそっと感謝の言葉を囁いた後、彼は去っていった。

 

その後も、草原に訪れる人々は少なかった。

 

しかし、彼らが訪れるたびに、私はお灸の力を通じて、少しでも癒しと温もりを届けることができた。

 

草原のお灸師として、私は人々の心をなだめ、痛みをやさしく包み込むことができる存在でありたい。

 

 

それが私の使命だと心から信じている。