お灸をすると、なぜ人の体は治るのだろうか。
例えば、お灸治療の適応例として下記のものがある。
手足の冷え、むくみ、便秘、下痢、頻尿
胃腸不良、肝機能低下、高血圧、低血圧
眼精疲労、首の痛み、肩こり、頭痛、腕の痛み
背中の痛み、腰痛、膝の痛み、足の痛み
めまい、耳鳴り、事故や病気の後遺症
不妊、疲労回復、虚弱体質の改善
それではこれらの症状は、なぜお灸をすると治るのだろうか。
一応、一般的なお灸・温灸の効果としては、下記のものがある。
1 自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスの調整
2 血液の循環の改善
3 ホルモンの分泌の促進
4 体内の老廃物の排出の促進
5 内臓の機能の向上
6 免疫力の向上
これらの結果として、上記の体の問題が解決されることが多い。
ツボは血管の走行部や分岐部やリンパ節にあることが多い。
お灸をすると、血管やリンパに対する反応を引き出しやすいということかもしれない。
お灸をすると交感神経が興奮し、血管が収縮するが、お灸によって刺激を受けた体内組織を修復させるために血管が拡張する。
それによって、その部位での血液の流れが改善される。
お灸によって赤血球数と白血球数が正常に近づくらしい。
免疫機能に関与するT細胞とB細胞が増加し、NK細胞が活性化するらしい。
単純に収縮してコリのある筋肉にお灸をすると、上記のように血管が拡張されて血液の流れがよくなり、収縮した筋肉が緩み、コリが解消されることがある。
お灸によって、体の組織を炎症させることで、体はそれを修復しようとする。
つまり、体の組織新生機能を活性化させる。
マクロファージなどの免疫細胞が増加するらしい。
血液の流れがよくなることは、新陳代謝もよくなるので、老廃物の排出も促進される。
血圧の状態も改善される。
あとは、単純に考えてお灸で体を温めると、体温が上がることもある。
東洋医学では病の原因は、気血の停滞と五臓六腑の不調和ともいわれている。
気血と五臓六腑の状態をよくすることが治療の目的になる。
それでは、気血や五臓六腑の状態をお灸で、どうよくすればいいのかということになる。
これは東洋医学的なツボの選び方になると思う。
お灸ではその基準は、五臓六腑の中では腎虚であったり、脾虚であったりが中心になる。
細かい理屈はともかく、お灸をすることで体が温まり、筋肉がほぐれて、下腹部に力が入り、重心が安定して、姿勢がよくなり、頭がすっきりして視界がよくなり、体が軽くなり、リラックスできれば、だいたいの患者はその効果や結果に満足するのではないだろうか。
治療目的はこれらの結果が出るようにすればいいのではないかと思うし、そのためにはどういったお灸治療を行えばいいのかを考えればいいと思う。