お灸における問診法は、個人的にはシンプルなものにしたい。
問診の前に、全身的な望診も行うが、これもあまり神経質になる必要はないと思う。
神経質になりすぎるとかえって直観力が鈍り、望診の意味がなくなることも多い。
また、問診の前に、「どこで、ここを知りましたか?」、「今までお灸の治療を受けたことがありますか?」などの雑談に近い質問をすると、いきなり症状に関する詳しい問診をするより、施術者も患者も落ち着いて話ができるのではないかと思っている。
肩の力を抜くことは、お灸治療では重要なことだと思っている。
初診の問診事項の基本は、カルテに書いてあることを追えばいいと思う。
「カルテに記入してある症状の確認」
「症状は、いつから始まりましたか」
「症状に関して、思いあたる原因はありますか」
「その症状で病院に行きましたか、行った場合は検査結果や治療などはどうでしたか」
「現在、飲んでいる薬はありますか」
「今まで、大きな病気や事故などの経験はありますか」
「睡眠時間は何時間ですか」
「お酒は飲みますか。タバコは吸いますか」
最低限の質問はこのくらいである。それ以外に2、3項目加えることはあるが、基本はカルテに書いてもらい、その確認とそこから質問を広げるという感じになる。
あとは、患者の希望を聞くことも大事かもしれない。
「体のどこが、どう治れば具体的に満足か」ということである。
これで治療目的をはっきりさせることも大事かもしれない。
治療目的が決まることで、治療に対して明確な目標が治療者、患者双方が確認でき、信頼関係にもつながると思う。
それ以外は患者側から何か質問があるかなどである。
初診の場合、問診のあとに、具体的にどんな治療や検査を行うのか、簡単に説明した方がいいと思う。
またどのような効果を狙っているのかも説明した方がいいかもしれない。
具体的には、使用するお灸などの道具の説明を行う。
それから基本的な検査法として、舌、脈、腹、背中、ツボその他の検査を行うことも事前に説明した方がいいかもしれない。