腹直筋と内腹斜筋、腹横筋は筋膜結合しており、内腹斜筋と腹横筋は、腰部の胸腰筋膜とつながっている。
胸腰筋膜は脊柱起立筋と腰方形筋と直接筋膜結合しているので、腹部を温灸で温めて緩めると、その刺激は表層の脊柱起立筋と深部の腰方形筋に伝わり、緩めることになる。
また、最下層の腹直筋は、骨盤底筋と仙骨筋膜を通して前縦靭帯とつながっている。
前縦靭帯は大腰筋と腰方形筋と筋膜結合しているので、腹直筋への温灸刺激は、大腰筋と腰方形筋にも伝わる。
その結果、腰痛が楽になる理屈である。
腹部の温灸というものは、小腸に働かけることもある。
小腸の機能低下が起こると、内臓体壁反射によって腹直筋の緊張が起こる。
腹直筋(前)が緊張すると、拮抗筋である広背筋(後)が伸長される。
また多くの腰痛は、広背筋の痛みと言われている。
広背筋と関連する臓器は、膵臓といわれている。
膵臓の機能低下は、かゆみ、喉の渇きなどの症状が現れることが多い。
広背筋の緊張が神経や血管に対して持続的圧迫刺激となり、痛みを発生させるようだ。
広背筋の緊張は、腸腰筋の緊張の反動といわれている。
腸腰筋の緊張が骨盤の歪みを作る。
腰痛のメカニズムのひとつとしては、腸腰筋の緊張によって骨盤が歪み、腰椎の前弯は少なくなるため、広背筋が伸長されて、持続的な緊張が起こり神経を圧迫することで痛みが生じる。
腸腰筋の緊張の理由は、腎臓の疲労や機能低下である。
東洋医学的にも腎と腰は関係がある。
沢田流でも、腎の重要性は説かれている。
内臓体壁反射では、腎臓と大腰筋は神経を介してつながっている。
腎臓の疲労は、腸腰筋の血液循環に問題を起こす。
腎臓の機能低下は、リンパ液や脳脊髄液の吸収を悪化させて、体液の流れが停滞する原因になる。
東洋医学的には、腎は水と関係があり、この水とは体液のことをいう。